夜中に彼と会う約束をしたんだ<大動脈解離回顧録⑧>

孤独死って本当にあるんだと思った。
家族・仲間・友達のありがたさを知った。
前回のブログはコチラから。

彼がボクを救ってくれた。

入院してから10日ほど経ったころから本格的にリハビリがはじまりました。
とは言っても「病棟を歩くだけ」なんですけどね。
前回書いたエアロバイクの登場はもうちょっと後からでした。
記憶が曖昧になってるよな〜、やっぱり。

病棟を歩くだけとはいえ、ボクにはけっこう大変です。
理学療法士さんが酸素ボンベを後ろに引いて、ボクは点滴台とか心電図のモニターを支えにしながら歩きます。

もし途中で息苦しくなったらそこでストップして休憩。
サチュレーションが回復してからまた歩き出す。
この繰り返しです。大変なんだけど、やっと歩けるようになって嬉しくてね。

なのに夜中は相変わらず首や肩が痛いし、頭痛もするから眠れない。
そんなに体力を消耗していないってことなんだろうな。

眠れないと余計なことを考え出すものです。
一気に不安の波が押し寄せてきます。

鼓動が速くなるのが分かるんだよね。
心臓に人工弁がついているから心臓の音が「ベコッベコッ」てけっこう大きな音で聞こえるから。

そんな時です。彼の存在を思い出したのは。
こんな酸素マスクをつけながら、彼に会うことを決意しました。

▲ 後ろに見えるこんなモニター装置を押しながら歩くリハビリでした。最初はたった70mの距離しか歩いていないのに休憩してた。思い出すと笑えるし、切ない気持ちにもなるな〜。

その名は立川志の輔。

以前、藤村先生に「落語は面白いから聞いてみるといいよ」と言われていたのを思い出したんです。
そして立川志の輔は素晴らしいとも。

ためしてガッテン。のオジサンでしょ。
龍角散のCMもオジサンだよね?
このくらいの知識しかないボクをお許しください。

スマホはもう手元にあったので、YouTubeで探してみました。
けっこうありました。ただ本人が動いているものは無かったな。
著作権などの関係で仕方ないんだろうけど。

動画は見なくてもいいから聞ければいいや。
そんな軽い気持ちで落語を、立川志の輔を聞き始めました。

 

最高だ・・・。

 

超面白い。今のボクにちょうどいい。
反対に面白ずぎて眠れない(笑)

立川志の輔さんってスゴイお方だったんですね。
ガッテンして、ノドを「ア〜」って鳴らしてる人じゃなかった。
めちゃくちゃ面白かった。不安を忘れることができました。
夜中に彼と会うことができでいなかったら、入院期間はもっとキツいものになっていたに違いありません。

毎日毎夜、彼と会う約束をしました。
彼はいつもと同じ調子でボクに語りかけてくれます。
そして和ませ、クスッと笑わせ(笑うと痛いからね)てくれる。
夜中の痛みはそれでもあるんだけど彼のおかげで助かりました。

告白します。
実は他の噺家さんに浮気をしようとしたことがあります。
でもねやっぱり志の輔さんがいいの。
もうねアナタなしでは生きていけない。
そんな感じでした。

落語が素晴らしいのは理解できました。
ただ単純にボクは立川志の輔さんが好きになったんですね。
藤村先生から教えてもらったのも影響していたとは思いますし。

退院してからも志の輔さんは気になります。
でも落語を聞きたくなったか?と言えばそうでもないんですね。
やっぱり彼の存在がボクを救ってくれたんだな〜(笑)

 

夜中の楽しみを見つけたボクに次なる試練がやってきます。
それが「夜中の病棟散歩」です。

看護師も理学療法士もナシ。
この状態で夜中に病棟を歩くんです。
イヤだ・・・・・。

 

つづく

 

やまだ整骨院 院長 山田敬一

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山田 敬一
株式会社サイモン・やまだ整骨院代表 柔道整復師 
サイモン式テーピングマスター代表
メンタル心理カウンセラー 
G-nius5メディスン認定イメージトレーナー 
藤村正宏氏主宰・エクスマ塾45期卒/エヴァ10期卒/ウルエヴァ1期卒

2008年東京都文京区本駒込に「やまだ整骨院」を開院。
プロ格闘技選手のトレーナーを15年務める。
現在は青山学院大学女子バレーボール部、大相撲佐田の海関、パリ五輪代表女子柔道57kg級舟久保遥香選手のコンディショニングサポート中。
治療現場では「治療を通じてアナタの心と身体を応援します」をモットーに活動中。

テーピングの開発・販売・講習もしています。
(講習に関しては随時ブログにてお知らせしています)

スポーツ歴は中高生時バスケ、専門学校時に柔道、社会人になり格闘技(キックボクシング)をしていました。
修行期間13年を経て34歳で独立開業、35歳でアキレス腱断裂、41歳で大動脈解離を患い生死の境を彷徨いました。
もうスポーツは積極的にはできませんが、身体とメンタルの両面をサポートし、アスリートを目標達成へと導きます。

2020年4月よりオリジナルプロテインを販売開始。
学生競技の現場を体験して「継続して飲むなら美味しくて、身体にいいプロテインを飲んでほしい」その想いからオリジナルプロテインを作りました。

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